ヒトコト図書館掲示板

髙橋キヌ、28歳独身。月に読む本は150冊以上、本代は常に10万円。ページのあいだに棲んでいます。

何者

先日紹介したこちらの本。

東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫)

東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫)

 

その中のいちばん最初の話に、こんなヒトコトがあって。

心が複雑骨折でもしてしまったみたいに、胸の奥が実際にぎしぎしと痛む。

自分の中に何かがあると信じてたのに、そんなの幻だったのかもしれない。この大きな街で、今も、これからもずっと永遠に、ただのその他大勢で、何者にもなれず、何も残せずに消えていくのかもしれない。

 

これを読んだとたんに

この感情、前にもどこかで読んだことある…ってなってですね。

急遽本棚(と記憶)をひっくり返して探しました。

 

この本でした。

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

映画化記念?なのか、キヌが買ったときと表紙が変わっていました。

やめろ…このトラウマを再生するグレイバック の写真が並んだ表紙やめろ…

※ 就活に使う写真の背景はクリームかブルーかグレイ。グレイはコンサバイメージがあり、公務員や銀行などの堅実な職種とフレッシュ感の出せない留年生御用達。

というわけで、本日はこちらをご紹介します。

 

あらすじはこんな感じ。

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

 

 割と最初のほうに出てくる、このヒトコトからしてもう覚えがありすぎてつらい。

就活がつらいものだと言われる理由は、ふたつあるように思う。ひとつはもちろん、試験に落ち続けること。単純に、誰かから拒絶される体験を何度も繰り返すというのは、つらい。そしてもうひとつは、そんなにたいしたものではない自分を、たいしたもののように話し続けなくてはならないことだ。

 

朝井リョウ先生とはほぼ世代だからか(確か早稲田の一個下の学年でした)、もう就活そしてそれにまつわる人間関係…どのページを読んでいてもぐさりとくるヒトコトがいっぱいでした。

ずらずらっとご紹介しますね。

アドレス教えて、という言葉に含まれるどこか疑わしいニュアンスは、「ラインやってる?」「ツイッターやってる?」という言葉によって過去のものとなった。アドレス以上の情報がこれでもかと詰まっているものなのに、俺たちは、誰かと知り合ったらまずSNSのアカウント名を教えあう。 

ほんとうのことが、埋もれていく。手軽に、気軽に伝えられることが増えた分、ほんとうに伝えたいことを、伝えられなくなっていく。

名刺に並べてあるような肩書きを盾にしないと、理香さんは何も話せないんだと思った。たった数十分のグループディスカッションの間に、理香さんは自分自身ではない何者かにたくさん憑依していた。

 

特に、ここがささる…

「十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。これから目指すことをきれいな言葉でアピールするんじゃななくて、これまでやってきたことをみんなに見てもらいなよ、自分とは違う場所を見てる誰かの目線の先に、自分のものを置かなきゃ。何度もいうよ。そうでもしないともう、見てもらえないんだよ、私たちは。百点になるまで何かを煮詰めてそれを表現したって、あなたのことをあなたと同じように見ている人はもういないんだって」

「拓人くんは、いつかだれかに生まれ変われると思ってる」

「いい加減気づこうよ。私たちは、何者かになんてなれない」

何者かになりたいと、キヌもときどき思います。

それはきっと楽だから。

目を背けたくなる面を持つ今の自分とはまったく違う、何者かになってしまえば、自分を磨く作業から目を背けることができて楽だからです。

 

でもそれじゃ意味がない。

何者でもない今の自分のままで、勝負し続けたいと思います。

 

 

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あとはこのヒトコトがね。

ギンジならきっと、こんな寄せ書きを手にしたとたん、外へ外へと発信する。本当に大切な思い出を語るわけではなく、自分を何者かであるように見せるための材料として。 

実際、前に通っていた起業塾で先生にあてた寄せ書きをね、ネットで公開されそうになったことがあって。

きれいに綴っていたものをバラバラにして、スキャンされたのもさることながら、バイトの手によって内容がベタ打ちされていたことのほうにびっくりしました。

強いてたとえるなら、自分が書いたラブレターを、その子がモテるっていう材料としてブログで全公開された みたいなイメージ。

そういうひととは、ほんと、仲良くなれないなと思いました。

 

就活のテクニック的なものは下記記事で紹介しています。 

librarian-kinu.hatenablog.com

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